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声優道・声優に死す【書籍感想】

2月に発売した、岩田光央さんの著書「声優道‐死ぬまで声で食う極意‐」
3月に発売した、関智一さんの著書「声優に死す‐後悔しない声優の目指し方‐」

こんにちは、たかのアキです。今回の記事では、ふたつの著書の感想です。

「声優」を知る

アニメのキャラクターになれる、大勢の人の前で歌を歌う、ライブツアーなどもやる・・・そんな華やかな印象が強くなってきた「声優」という職業。今までの職業本であれば「専門学校に入って~事務所に所属して~」といった流れのみの説明でしたが、声優業界の中核にいる方々から、もっと踏み込んだ内容がお話しされています。

声優という職業はアニメだけではなく、洋画の吹き替え(外国語の映画やドラマの日本語版の声など)、TV番組やCMのナレーション、博物館のガイド音声、ロープーウェイの声、店内ナレーション、企業内で使用される研修用ビデオ・・など、華やかなものばかりではありません。しかし、華やかな面ばかり見て「高校を卒業した後から始めても、アイドルみたいになれるんだ!」と、芸能人より簡単に目指せると思われ、軽い気持ちで習い事のように始めて、貴重な時間を無駄にしてしまう人や、理想と現実の違いに打ちのめされる人が増えているのだと思います。そうなる前に、これらの本を読めば予習になります。

小学校、中学校、高校の図書室に絶対に入れた方が良い本です。

この本を読んで、同じかそれ以上に辛いことが自身の身に起きるとわかっていても、目指したい世界なのか、と。

声優の浅野真澄さんも「岩田さんの本を読んで、先輩がこの業界をどんな風に思っているのか、とても勉強になりました」(文化放送ラジオ・週刊マネーランドより)と、お話されていたので、声優業をやっている方こそ、読むべき本なのでしょう。

諦めさせるための本

岩田さんは「諦めさせるためにこの本を書いた」とお話していました(TBSラジオ・林原めぐみのTokyoBoogieNight2017年3月4週目放送分)
そのお話通り、「声優道」にはかなり厳しい内容が書かれています。滑舌の練習法など、実践的な内容も、もちろん書かれています。が、若い役者がどんどん使い捨てにされている、ひとつ主役をやったから生き残れるわけではない。どんなに売れていても、常にふるいにかけられる厳しい世界であることを事細かに書いてあります。

では関智一さんの「声優に死す」は優しい内容かというとそうではなく、「養成所は人材発掘の面はありますが、事務所の経営を安定させるためのビジネスでもあるということです。(本書P56より)」など、厳しい側面についてもお話されています。ご自身と演技の向き合い方についてのお話が多かったように思います。

岩田さんの方は声優業界の厳しさを、関智一さんは「演じる仕事」について詳しく書いてある印象がありました。

異なる声優人生

岩田光央さんの「声優道」、関智一さんの「声優に死す」、どちらを読んだ方が良いかと悩む方もいると思いますが、両方おすすめです。同じ声優という職業であれど、当然のことながらお二人はまったく違う人生を歩んでいます。岩田さんは子役時代にドラマ出演を経験し、関智一さんは大学を辞めて演技の勉強をしていた、など。経験してきた仕事、見てきたもの、共通することはあれど、思うところは別です。

著者であるお二人は、発売時期がかぶったことを苦笑いされていますが、むしろ現在の声優業界について様々な角度から知るという意味でも、両方読むことを強くオススメします。情報は多いにこしたことはありません。ましてきちんと出版社を通して内容を吟味した上で発行されたものですから、有益となることでしょう。


声優を知らない人にもオススメできる理由

声優を目指す人向けに書かれているので、アニメやほかの声優さんのお名前もたくさん出てきます。その方々を知っている人には面白い反面、興味がない方には意味がわからなくなってしまう欠点もあります。が、そこは参考程度に適当に読んでも大丈夫です。「へ~そんな人がいるのか~」ぐらいに流してよいと思います。

オススメしたい理由は、このお二人が厳しい世界をどう生き抜いてきたかが読めるからです。

日本で初めてプロ格闘ゲーマーになったウメハラこと梅原大吾さんの著書「勝ち続けるための意志力」「勝負論-ウメハラの流儀-」など、ビジネス書として売り上げを伸ばしています。格闘ゲームを仕事にするという、誰も知らない道を歩んでる方のお話です。

辛いとき、行き詰ったとき、迷ったとき、他の人はどんな風に乗り越えるのだろう、どんな風に選択をしていってるのだろう。成功するためのノウハウ本ではなく、お二人が自分の思いをありったけ書いてくれたこの本は、どんな方にも生きるヒントになるのだと思います。