「おそ松さん」の企画術【本】

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おそ松さんを切り口に見る日本のアニメ史

2015年10月より半年にわたりアニメ放送された「おそ松さん」。本書は、おそ松さんの制作を手がけたstudioぴえろ、株式会社ぴえろ取締役最高顧問である布川郁司(ぬのかわ・ゆうじ)さんの著書になります。

布川郁司(ぬのかわ・ゆうじ) 株式会社ぴえろ取締役最高顧問

1947生まれ。山形県酒田市出身。竜の子プロダクションでアニメーター・演出家として『タイムボカン』『ヤッターマン』などを担当。1979年株式会社ぴえろ設立。『うる星やつら』『魔法の天使クリィミーマミ』『幽☆遊☆白書』『NARUTO-ナルト-』『BLEACH』『おそ松さん』など多数のTVアニメ、映画の企画・製作に携わる。著書に『クリーミィマミはなぜステッキで変身するのか?』(日経BP社)がある。(著者紹介ページより引用)

 

「おそ松さん」は、頭をカラッポにして見られる、楽しいギャグアニメでした。いわゆる下ネタが多々あるので、リビングで見るのはオススメしにくいですが(笑)こちら女性のアニメファンに大流行しました。マツキヨやすき家でコラボが行われたり、本放送が終わった今でも書店などで本やグッズの新作が売られています。2016年の流行語大賞の候補にもなりました。もちろん、男性にもオススメですよ!ギャグアニメですから!

本書は、おそ松さんの現状を分析しつつ、アニメの歴史を振り返る内容となってります。おそ松さんの話だけの本ではないので、それだけを目的にして読む本ではありません。しかし、著者である布川さんが制作側として見てきたアニメの歴史は、とても深いお話でした。『昔のビジネス基準でいえば「おそ松さん」は負け組(本書39P)』価値観、計り方の違い、口コミの広がり方などが、大きく変化していると如実に感じた一例であると。過去を肌で感じてきている布川さんだからこそ、さまざまな角度のお話が飛び交います。日本のアニメファンはもちろん、時代の移り変わりの再確認をいたしました。

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会社経営者も個人も共通点はある

アニメの制作は最低いくら必要かといった、具体的な数字も出てきてアニメファンとして興味深い話はもちろん、アニメを知らない方にも読んでいただきたい1冊です。前述のような時代の移り変わりを実感や、企画を任せる時はどういった人を選ぶのかなど、人となにかを成す時の考え方など、大変参考になります。「得意分野を見つけ、肌に合わないことはやらない」といったお話もあり、現在仕事で悩んでいる身としては背中を押してもらっているようでした。赤字覚悟で最高の作品を作ったことが次の仕事に繋がったなど、ビジネス書として会社経営者の方ならば目次を読むだけで興味引く項目が多くあるでしょう。

本を読んでて驚いた裏話は色々ありました。もともと「NARUTO-ナルト-」は作者である岸本先生が、とある作品の続きを読みたくて作ったお話だったと…。好きな作品の知らない背景、きっと見つかると思います。